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面接していていつも思うこと

ちょうど今、うちの会社でデザイナーの中途採用の募集をしています。今までにも、100人近い人たちと面接してきました。そこで、必ずお聞きする事は、「なぜ、あなたはデザイナーになろうと思ったのですか? 」という質問です。応募してくる人の年齢も、キャリアも、境遇も様々ですが、共通している答えは、「好きだから」と「興味があるから」ということです。
もちろん、嫌いな仕事に就こうとは思わないでしょうし、興味がなければやりたいと思いません。当たり前です。あまりにも当たり前すぎて、理由になりません。
「なぜ、あなたはパティシエになりたいのですか? 」「お菓子を作ることが好きだからです。」「なぜ、あなたは会計士になりたいのですか?」「会計に興味があるからです。」
「……あ、そうですか。」と答えるしかありません。みなさんが選んだ職業に対してあまり深い理解をしていないのだなあと、いつも感じてしまうのです。新卒の学生さんならば、わかりますが、中途採用で、3年以上のデザイナーの経験者との面接なのです。前職の上司はいったい何を教育してくれていたのか。
うちの会社に入社すると、よく言われるのが、「君は誰のためにデザインしているの? 」「君は何のためにデザインしているの?」という言葉です。みんなポカ〜ンとしてしまいます。「何でここは、この形なの? 」「どうしてこの色は赤なの?」「なぜ、なぜ、どうして?その理由は??」「理由が無くて、この色を選んだの?いったい君は何のために、誰のためにデザインをしているの?」矢継ぎ早にこういわれて、しどろもどろになる新人デザイナーさん達。
好きでなければ、グラフィックデザイナーという仕事は勤まりません。アイデアを発想する準備として地道な調査を行ったり、夜遅くまで、こつこつとした手作業を行ったり、割の合わない長い労働時間を楽しく過ごすためには「好き」という気持ちが欠かせません。しかし、好きだけでは、仕事に深みも、幅も出てこないのです。
デザインはアートではなく、アート性を持ったビジネスのツールです。ビジネスとしての戦略や、方法論が、デザインの形や色や書体に計算されていなければならないのです。自分が作ったデザインのおかげで、喜んでくださるクライアントさんがいる、消費者がいる。そこで初めて、この仕事の喜びがあるのです。カッコイイデザインに自分が酔いしれても、「デザインはキレイなんだけれど、全然売れなかったよ」とクライアントさんに言われてしまっては、それは独りよがりのデザインです。「デザインが好きだから、好き勝手にデザインしています」的なデザインでは自分のためにデザインの仕事をしているようなものなのです。これから、弊社に面接にいらっしゃる方、そして、デザイナーに限らず、すべての職業に言えることと思いますが、もう一度、なぜ自分はこの仕事を選んでいるのか、じっくりと考えて見るのも必要ではないかと思います。

日々の仕事
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熊谷淳一

熊谷淳一

株式会社ノイエ 代表取締役。デザインで経営を伸ばす経営コンサルタント・クリエイティブディレクター。デザインは第5の経営資源としてデザイン経営とマーケティングの研究にいそしむ。 お酒、書と陶芸が好き。 尊敬する人は岡本太郎。
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