日経クロステック 連載コラム

経営におけるデザインの役割やデザインの価値を経営者に向けてわかりやすく解説した連載記事「経営を伸ばす 視覚伝達デザインの鉄則」と、エンジニアに向けて創造やイノベーションを生み出すため、デザインの視点やアイデア発想のポイントなどを解説した連載コラム「エンジニアのための 視覚伝達デザインの法則」です。
いずれも2006年から2008年の2年間、日経BP社のエンジニア向けの情報ポータルサイトIT proのサイトに連載されました。現在は日経クロステックにリニューアルされていますが、連載記事はアーカイブとして読むことができます。10年以上前の記事ですが、当時から「デザイン経営」の視点は今に至ってもブレていません。

経営を伸ばす視覚伝達デザインの鉄則経営を伸ばす視覚伝達デザインの鉄則

第1回 デザインに注目すれば,ビジネスもうまくいく
 今回から,主にマネジメントにかかわる人に向けて,ビジネスの場面での視覚伝達デザインについてお話ししたいと思います。つまり,「ビジネス戦略としての道具としてのデザイン」がテーマです。
第2回 良い商品や良いサービスは「良さそう」と思われなければ売れない
 11月27日に,「デザイン普及啓発セミナー」(東京都の委託で(財)東京都中小企業振興公社が開催)で講師をつとめさせていただきました。講演タイトルは「引きつけるデザイン,伝わるデザイン」。中小企業の経営者に向けて,デザインのお話しをしてほしいという依頼があったのです。約2時間近くお話しさせていただきました。
第3回 商品やサービスの良さを上手に伝えるには
 前回に引き続き,いかに良い商品や良いサービスでも,売り方が下手だと売れるものも売れない,というお話しを続けます。
第4回 「良さそう」と思ってもらうには4つのポイントが必要
 商品やサービスの良さを上手に伝えることができると,お客様に「良さそうだなあ」と思っていたくことができる,というお話しをしてきました。企業は広告やPR,宣伝,イベント,展示会など,いろいろとあの手この手でマーケティング活動を行います。その目的は購買してもらうことですが,第1関門は,「良さそう」と思ってもらえることです。...
第5回 デザインはおもてなしの心
 デザインの4つのポイントを守れば,言いたいことを相手に伝えることができますが,それでは「言いたいこと」っていったい何なのでしょうか?
第6回 120年も前に,上手に「コミュニケーション・デザイン」を活用して大企業になった会社
 これまで,経営にとって,コミュニケーション・デザインは大切ですよ,というお話をしてきました。  どんなに良い商品を開発したとしても,優れた商品があふれかえっている現代では,商品の良さを上手に伝えて,認知してもらうことが重要である。「良さそう」と思ってもらうために,ターゲットを絞り,そのターゲットに「気に入って」もらう...
第7回 「機能」の価値より「情報」の価値で売れるかどうかが決まる
 デザインは情報の価値を高めます。どういうことかと言いますと,まず「情報とは何か」ということを定義しなければなりません。もちろん,「情報」という言葉は様々な分野で広義にわたる使われ方をしているので一言では言い表せませんが,ここでは,商品やサービスの価値に関して説明します。
第8回 企業の経営にデザイン・マネジメントを導入する
 デザインは「情報の価値」を高めるものということで,前回は私がクルマを購入するお話しを書きました。「機能の価値」よりも「情報の価値」のほうが大切だと言うことではなく,機能に大きな差がない場合,「情報の価値」が購買の決め手になる,時には機能的には低くても「情報の価値」のほうが勝る場合がある。ということでした。
第9回 世のため人のために経営するならば,デザインが必要
 前回,企業のあらゆる場面でデザインが発生することを認識していただきましたが,なぜデザインが経営にとって重要なのでしょうか。それは,何のために,誰のために経営を営んでいるのか,という経営者の思想によって答えが違ってくると思うのです。つまり,何のために,誰のためにデザインをするのかということを考えてみる必要があります。
第10回 諸外国はデザインの推進に力を入れているのに…
 中国では「デザインは新資源である」という言い方で,デザイン教育に力を入れ出しました。中国の工業デザインといえば,今はまだ日本のクルマそっくりさんのデザインが少なくありませんが,これは高度経済成長期の日本も同じことを言われていましたよね。そんな中国の多くの大学が,デザイン課程の設置を進めており,今も増え続けているとのこ...
第11回 デザインは必要なのか? だって?
 あるブログの中で,気になった記述がありました。そこでは,書店のおすすめPOPが手書きではなくパソコンで整理されたものだったら,本は売れないだろう。スーパーのチラシが整然としたものだったら,売れないのではないのか。それならば,デザインって本当に必要なのだろうか? という疑問を投げかけていました。

エンジニアのための視覚伝達デザインの法則エンジニアのための視覚伝達デザインの法則

カッコイイデザインが良いデザイン?
 私はいわゆる「Webデザイナー」ではありません。1年中,朝から夜(深夜?)までWebの仕事ばかりしているわけではないのです。いわゆる,グラフィックデザイナーではあるのですが,普通のグラフィックデザイナーと違うところは,皆さんがイメージされる広告やポスターなどのセールスツールのデザインのほかに,展示,サイン,CI(コー...
コミュニケーション力を持ったデザイン
 リニューアル前の「IT Pro」の第一印象は,私の小学生の子供の部屋のように,トッ散らかった,ごちゃごちゃしたサイトだなあという印象でした。まず,色のトーンが全体に青っぽく濁っていて,暗い感じ。そういった空間の中に,文字情報がぎっしり詰め込まれていて,どこから読んでいいのかわかりません。さらに,サイトの顔であるヘッダ...
ITproにおけるデザインのポイント その1
 前回,ITproのリニューアル前の印象をぼろくそに言ったままでした。じゃあ,具体的にどうすればよいのかを,今回から一つずつ具体的に要素を取り上げてお話ししたいと思います。
ITproにおけるデザインのポイント その2
 Webサイトのデザインでは,ユーザビリティやレイアウト,アイコンのデザインなどがテーマに挙げられますが,サイトのタイトル・デザイン,つまりロゴマークなども実は大切な要素の一つです。企業のホームページであれば,企業のマークが使用される場合が多く,サービス・サイトそのもののシンボルマークが設けられる場合も少なくありません...
Webはブランドを構築する要となる媒体
 前回はロゴマークのお話をしましたが,なぜ,クオリティの高いロゴマークが必要かというと,何度もあちこちに露出する頻度が高く,サイトの「顔」になるものなので,良いデザインであれば,見る者の潜在意識に良いイメージを染み込ませることができる,ということがその理由でした。
デザイナーに突っ込んだ質問をしてみよう
 前回,Webは「ブランド経験」の基幹となる可能性が大変大きいという話をしましたが,エンジニア向けではなく,経営者向けのお話と思われた方も多かったのではないでしょうか。
デザインとテクノロジーの深い関係
 このコラムのタイトルには,「エンジニアのための」という言葉がくっついていますが,エンジニアの皆さんにデザイナーレベルのデザインの技術やノウハウを身に付けていただくということではありません。エンジニアの皆さんに,少しでもデザインに関して興味を持っていただければと思っています。
イノベーション,クリエーティブ,プロデュースにかかわる能力を開発していこう
 ホワイトカラーが従事する左脳型の仕事が,一桁違う安いコストでアジアで行われるようになりました。アメリカの産業は,モノ作りは中国,IT産業はインドへと発注先をシフトし始めています。クオリティもアップし,アメリカ人とほぼ変わらない優秀な頭脳を低コストで使えるようになりました。ブロードバンドのおかげで,距離の問題もありませ...
魅力的でわかりやすい道案内を作ってみませんか
 “サイン”のデザインに関心を持たれたことはありますか? 始めての街や駅,大規模な商業施設を歩いているときに,わかりやすく親切なサインや道案内があると本当に助かります。ましてや,そのデザインがしゃれていたり,美しかったりすると,その街や施設のイメージがぐっとアップしますよね。
どうすれば良いデザインが生まれてくるのか
 先日あるプログラマから,「よく,何もないところからポンっと,形とか色とか思いつきますねえ。頭の中にデザインが浮かんでくるのですか?」という質問をいただきました。デザインを職業としていない人にとっては素朴な疑問なのでしょう。じつはこれに類する質問を割とよくされることが多いのです。
デザインは誰のためにするのか?
 デザインは誰のためにするのか?もちろんクライアントのため。というのが当たり前のように思われますが,ちょっと違うと私は思っています。
デザイナーの仕事は「蝶のように舞い,蜂のように刺す」
 前回,会社を抜け出して松永真氏の個展に出かけ,松永氏から長時間お話をお伺いしたことを書きました。その中で一番印象深かったお話が,「グラフィックデザイナーというのは,モハメド・アリのような蝶のように舞い,蜂のように刺す仕事なんですよ…」と言われたことです。そのときは,あまりピンとこなかったのですが…。
どうすればクリエイティブな力を養成できるか
 クリエイティブという言葉は今や様々な方面で使われすぎてしまい,やや軽薄なイメージがします。しかし,デザイナーやエンジニアにとっては,やはり大切な,重みを持つ言葉だと私は思います。 「クリエイティブとは何か」を問えば,人によって千差万別で答えは一つではないのかもしれません。それでも,「新しいことを考える力」というのは共...
誰がデザインを決めるのか?
 良いデザインを提案する責任はデザイナーにありますが,良いデザインを世に出すのはクライアントの責任です。デザイナーがどんなに良いデザインを作って提案しても,クライアントのまと外れな要求によって,デザインが悪い方向に改悪されていくのはよくあることです。
良いデザイナーを見分けるポイント
 皆さんはデザイナーと一緒に仕事をする場合,どんなデザイナーと一緒に仕事をしたらよいのか,不安に思ったことはありませんか? 良いデザイナーを見分けるには,どうしたらいいでしょうか。いくつかポイントを挙げてみましょう。
人は見た目が9割
 「人は見た目が9割」というのは,竹内一郎氏のベストセラーになった著書です。  心理学によると,人間が伝達する情報の中で言葉の内容そのものが占める比率は7%に過ぎず,ほとんどは“見かけ”による情報に左右されてしまう。「バーバル・コミュニケーション(言葉による伝達)」より,「ノンバーバル・コミュニケーション(言葉以外の伝...
良いデザインにするための四つのポイント
 良い医者,良い営業マン,良い経営コンサルタント…。 良い料理人,良い陶芸家,良いミュージシャン…。 前者の三つと,後者の三つには大きな差があることがわかりますか?
感性を身に付けるうえで最も大切なこと
 クライアントさんの中にも,「いやあ,私は感性が鈍くて,デザインのことはまったくわからんのですわ」などと自嘲される方もいらっしゃいますが,感性というものは持って生まれた才能だと感じている人が多いのではないでしょうか。
異分野とコラボレーションしていますか
 東京ゲームショウ2006が9月22日から開催されます(一般公開は23~24日)。任天堂の「Wii」,ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の「プレイステーション 3(PS3)」など,新型ゲーム機の発売を前にして,ゲーム業界も盛り上がってきているようです。
発想を飛躍させるために必要なこと
 IDEOという世界的に有名なインダストリアルデザイン会社があります。その会社のCEOのデヴィッド・ケリー氏がインタビューの中でデザインとエンジニアリングというものを比較していました。
「ものづくり」とは,「ものにつくりあげる」こと
 私は,デザイナーとエンジニアの共通点を様々な点で感じています。一口にデザイナー,エンジニアと言ってもかなりの広い範囲にわたる職業ですが,基本は同じだと思っています。
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