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高いホームページと安いホームページは一体何がどう違うのか?

ある大きな団体のホームページを作らせていただいたのですが、先日、その団体の総会に出席しました。150人くらいの大きな総会です。

「では、何かご意見ありませんか」と議長。するとある会員の方が発言しました。

「決算書を見てうちの会のホームページが180万円したのにびっくりしたのですが、これはあまりにも高すぎると思います。なぜ、こんなに高いのでしょうか。」

というご意見が出ました。

他の業者と相見積もりをしたのか?など追求され、理事会は一生懸命、これは高いとは思っていない、と弁明してくれたのですが、会場の雰囲気はしっくりとは来ていない様子。

なぜ180万円するのか、僕がマイクをもらってお返事したかったのですが、その機会がいただけませんでしたので、このブログに書かせていただきました。

この団体の会員ではなくても、デザイン料金って、特にホームページなどはめちゃめちゃ安い会社から高い会社まで様々ですから、その差は一体何なのだと思うのも不思議ではないと思います。長文になりますが、わかりやすくご説明するので、じっくり読んでいただければと思います。

180万円のホームページと30万円のホームページの違いは

その違いは非常に明快です。
30万円のホームページは、ホームページを組み立てる作業料金だけなのです。

クライアントから文章原稿や写真をもらって、それをホームページのデザインに形作り、プログラミングするだけ。それだけです。

15万円台のホームページはデザインすらしません。テンプレートにもらった原稿を流し込んで、写真を貼り付けておしまいです。

これだけだって、本当は大変な作業です。丁寧に形を組み上げるだけでもその金額は決して高くないと思います。しかし、これだけでは経営的な効果は期待できません。

考えてみてください。そもそも何のためにホームページを作るのでしょうか?新規のお客さんや集客、販売、売り上げを伸ばす、そのためのホームページですよね。

経営者にとってそのような効果がないホームページは、10万円だって5万円だって高い買い物です。

ホームページで大切なことはお客さんに見ていただくこと。そのためにはSEOも重要です。そして、見ていただいたらかなり高い確率で、その会社から買いたくなる、そのサービスを受けたくなる、予約したくなる。そう思ってもらう必要があります。

そのためにはお客さんはいったい誰で、どんなことを思っていて、何に悩んでいるのか?競合会社はどんなサービスをしていて、どんなメッセージを発信しているのか?自社は競合会社と比べて何が違っていて、お客さんをそのように幸せにできるのか?

これらのマーケティングや経営戦略に則った効果的なメッセージを発信していなければ、どんなに綺麗なデザインでもお客さんには届きません。世の中、そんなに甘くないのです。

しかし、安いデザイン会社は、そんなことは一切考えていません。彼らの仕事は「綺麗なデザインを組み立てること」だけなのですから。その文章が誰に向けて書かれているのか、お客さんの心をどのように動かせるのか、その会社の魅力はどこにあるのか、そんなことはちっとも考えません。綺麗な色や形で心を動かそうとは思っているでしょうが、しかしホームページのデザインがいいから、じゃあ買おう!という人って、いるんでしょうか?

デザイン業界にはある掟があります。

その掟とは「クライアントからもらった文章は絶対に触るな」というものです。文章の決定権はクライアントにあるので、デザインをする奴は口を出すな。ということなのですが、この掟を守っていればデザイナーは楽チンです。

「デザインはカッコよかったんだけど全然売れなかったよ」とクライアントがぼやいても、「そうですよね、デザインはよかったんですけどねえ」とヘラヘラしていられるのです。販売することに責任がない(と思っている)からです。

その責任がないからデザイン料金は安いのです。作業料金だけですからね。

「クライアントが売れても売れなくても自分には関係ない」という考えのデザイン会社に30万円出したいですか?売れるためにはこの原稿では売れませんよ、書き直してくださいね。とアドバイスしてくれる会社。

安くても効果のない会社と、高くても効果のある会社。
経営者であれば、どちらにお金を使いますか?
ちなみに、安くて効果のある会社は存在しません。
安くて効果がある「かもしれない」会社はありますが、

高いホームページの価格の中身は?

では、180万円するホームページは何をしているのでしょうか。
弊社ではホームページを作成する場合、工程が1から10あるとすると、70%がマーケティングのお話と効果的な原稿作りで、残りの30%がデザインの作業になります。それだけ、「中身」が重要なのです。正直デザインは30年間やってきていますから、苦労はしません。しかし、売れるか売れないか、効果が出るか、結果をコミットするかどうかは、やって見ないとわからない部分が正直あります。とても難しいのです。なぜならば対象は「複雑な市場」だからです。「人の心」だからです。

たいていのクライアントは基礎的な戦略フレームワークの3Cが明確になっていません。Customer(顧客)、Competitor(競合)、Company(自社) が明確ではなければ、効果的な原稿は作れません。

本当にその顧客で良いのか?本当は会社の経営資源を考えれば、こういうお客さんに絞った方が良いのではないか?など、ターゲットを間違えてしまうとそのあとはすべて外してしまう、重要な作業です。

競合他社も調査し、分析します。何十ページにも渡り報告書を作ります。その結果、会社がどういう方向に行くべきか、競合と比べて何が違うのかをわかりやすく顧客に説明できるまで明確にします。

そして、自社の強みはいったい何なのかを探ります。社長さんは「我が社の強みはこれこれで…」といろいろ述べるのですが、大抵は強みではなく、特徴でしかない場合が多いのです。または「うちは特に強みなんてありません」という経営者も多いので、強みはいったい何なのかを一緒になって探していきます。

この強みがなければ、効果が出ないので、強みが見つかるまで弊社はデザインを行いません。

これらを踏まえた文章を作る作業も大変です。クライアントから出てきた文章は何度も書き直してもらいます。何度書き直してもうまくいかないので、最後はこちらでほとんど書き直したりしています。これは、まあ無理もありません、クライアントはご自分の仕事は専門家ですが、文章の専門家ではないので上手に書ける方はなかなかいません。

支給される写真原稿も暗い、解像度が低い、ぶれてる、ボケてるなど、使えないものが多いですので、写真をPCで加工し直したり撮影し直したり、説明図を書き直したりします。

SEOの対策も行います。ここでは詳しくは書きませんが、これも大変な作業になります。

そして、最後にデザインです。

デザインのテンプレートは使用しません。差別化を測るにはオリジナリティが必要だからです。競合と比べてどう見えるかを理解し、競合よりも圧倒的に「良さそう」に見えるデザインを行います。

見た目だけではなくユーザビリティと呼ばれる操作性、購買心理に則った構成、わかりやすさ、見易さ、読みやすさ、などなど、デザインで重要になるのは色や形だけではない部分も大切です。

その会社や個人事業のサービスや商品が魅力的に見えるために、考えなければならないこと、やるべきこと、知らなければならないことがたくさんあるのです。

安い価格の理由は?

30万円のホームページにはそれらの要素は一切ありません。なぜ、断言できるかといえば、そんなことをやっていては30万円では元が取れないからです。30万円で利益が出るような範囲でしか仕事をやりません。経営者であればそんなこと当たり前です。ましてや15万円のホームページはおそらくホームページ会社の方が大儲けです。単純に支給された原稿をテンプレートに流せば、ハイできあがり!だからです。こんなにおいしい商売はありません。

しかし、そんなのはデザイン会社の「都合」です。彼らにとって都合の良いビジネスモデルなのです。大変失礼な言い方ですが、僕にはそこのクライアントが「カモ」にされているように見えて、仕方ありません。しかし、このことはカモさん達には見えていないのです。

「綺麗なホームページが手に入った」「これで売り上げが伸びるぞ!だって30万円も払ったんだから」などと本気で喜んでいるのです。デザイナーも「クライアントさんに喜んでいただけてよかった」と思っています。しかし、数ヶ月も経てば、嬉しかったのはデザイナーだけということがわかってきます。
弊社にご相談にいらっしゃるクライアントさんはそういう経験をされた人がたくさんいます。

もう一つの理由

「安くしなければ仕事がもらえないから安くせざるを得ない」
これも真実です。デザイン業界の景気は依然として非常に厳しい。
個人でやっているデザイナーは安い価格設定をしても生活できるのです。食べるだけならね。僕も若い時はそうでした。

しかしある時、自分が食べるだけの仕事ではクライアントさんを食べさせることができない、ということに気づいたのです。つまり、「売れるデザイン」を作るには、大変な作業をしなければならないしデザインだけでは限界がある、ということを感じ始めました。それからどうすれば売れるようになるのかを一生懸命考えて、マーケティングの研究を始めたのです。

経営者がやってはいけないこと

そんなホームページに30万円払うことは効果が出るかもしれないし、出ないかもしれない。つまり「いちかばちか」です。それは投資ではなく賭博です。30万円を丁か半かの賭博に掛けることは、経営者はやってはいけないのです。

しかし、そのような内情は知りませんので、30万円払えばきっと大丈夫。と思ってしまうのです。30万円だって、個人事業に取っては決して安い金額ではないですからね。

弊社のホームページは180万円するけれども、きちんと結果を出しています。決して高いなんて思っていません。

安くても効果のない会社と、高くても効果のある会社。
経営者であれば、どちらにお金を使いますか?
ちなみに、安くて効果のある会社は存在しません。
安くて効果がある「かもしれない」会社はありますが、これも賭博です。

質の良い食材を使った経験のあるプロがこだわって作る料理と牛丼を比べても意味がありません。高級料理は食べてしまえばおしまいですが、ホームページはお金を生み続けます。それが「消費」と「投資」の違いです。

2人の経営者のお金に対する考え方

冒頭の団体のある会員さんのホームページを数年前に作らせていただきました。(この団体のホームページよりも高い金額で!)その方は今では毎月100万円の集客を行なっています。あっという間にデザイン料金を回収してしまい、4月よりご自分のサービス価格を現在の2倍に値上げすることになりました。顧客が来すぎて、忙しすぎ、顧客を減らしたいというのが理由です。

もう一人、この会員さんで開業して4年間新規顧客に恵まれなかったのですが、ホームページをリニューアルした2ヶ月後の売り上げが、開業以来一番の売り上げになりました。ドッと新規顧客が押し寄せたのです。

これらの会員さんと「180万円が高いので納得できません」と考える会員さんは何が違うのでしょうか?

「納得いかない」経営者さんは前者の稼いでいる経営者さんたちよりも、この業界の経験も長く、サービスの質もおそらくこちらの方の方が優れていると思います。どちらも立派なプロの仕事をされる素晴らしい方だと思いますが、ただ一つ違うのは、経営者としてのお金の使い方が違うことなのだろうと思います。感覚が違うというのでしょうか。

そうはいっても、デザインやホームページ制作のいわゆるクリエイティブ業界と呼ばれる世界は今ひとつよく分からない世界だという印象があると思います。大方のデザイナーも、真面目に「綺麗なデザインを作ってクライアントに喜んでもらおう」と思って一生懸命に仕事をしているのだと思いますので、より、わかりにくい。いい人に見えるから(実際、いい人が多いのですが)その分、経営者にとってはタチが悪いのです。

すべては「経営判断」

しかし、何のために仕事をやっているのか?それを真剣に考えれば、答えは簡単にわかるはずです。「綺麗なデザイン」を作ることなんてデザイナーにとっては簡単なことなんです。クライアントが欲しいのは、経営者が欲しいのは「デザイン」なんかではないんだということに気づかないデザイナーはこれからの時代は消えていきます。

そしてそんなデザイナーに依頼する経営者もお金を消費し続けるのでしょう。
お金を何にどう使えば良いのか?「経費」とみるか「投資」とみるか。
さらに、大切なお金をどこに投資すれば良いのか、その「観点」や「センス」が経営者には大切だと思うのです。それらはすべて「経営判断」です。自分の専門分野の勉強をするのも大切ですが、経営者としての勉強をしなければ、このセンスは身につきません。

「納得いかない」経営者さんを悪くいうつもりは全くありません。この方は非常に一般的な感覚です。総会の会場にいらした150人のほとんどがこの方と同じ気持ちだったと思います。僕のクライアントのおふたりを除けば。

デザイン経営
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熊谷淳一

熊谷淳一

株式会社ノイエ 代表取締役。デザインで経営を伸ばす経営コンサルタント・クリエイティブディレクター。デザインは第5の経営資源としてデザイン経営とマーケティングの研究にいそしむ。 お酒、書と陶芸が好き。 尊敬する人は岡本太郎。
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