日経新聞に気になる記事がありました。「菅氏、中小企業の再編促す 競争力強化へ法改正検討 」

日本は世界的にも生産性が低いというのは知られているところです。GDPが世界3番目の国であるにもかかわらず生産性が世界的にも低いとは一体どういうことなのか?
とても不思議に思いますが、生産性が低い理由の一つとして中小企業基本法が原因であると言われています。日本の会社の99.7%を占める中小、零細企業ですが、現在の中小企業基本法では、中小企業の定義を従業員が製造業は300人以下、卸売業サービス業では100人以下、小売り業は50人以下、また資本金の額で中小企業であるのかないのか、を法律で定めています。実はこの人数や資本金がを超えてしまうと中小企業とみなされず、様々な助成金や補助金や税制の優遇を受けることができないのです。
中小企業の8割は決算が赤字だと言われます。それもわざと赤字にして税金を支払わないようにしている会社も非常に多いとか。国からの手厚い優遇措置を受けるためにあえて資本金や従業員数を増やさない例もあると言われてます。
菅氏はこのような現状を是正するために、中小企業基本法の法律を従業員数の引き上げや資本金の撤廃資本金の条件の撤廃など、改正しようと考えているようです。
オックスフォード大学で日本学を専攻し、ゴールドマン・サックスで日本経済のアナリストだった、デービット・アトキンソン氏も日本の生産性が低い最大の原因は中小企業であるという主張をしています。

確かに、IT化が進んでおらず、無駄な会議やハンコ文化が生産性を妨げ、上司に忖度して残業したり、日本人ならではの悪い意味で文化的な非生産的な働き方が当たり前のようになっていますし、今回の新型コロナの影響で大企業はテレワークに速やかに移動しているようですが、中小企業ではまだまだあまり大きな変化は見られないらしい。
氏の主張は「小規模事業者や中小企業に価値はなく、将来、中堅企業や大企業に成長する通過点としてのみ、価値があると言える。永遠に成長しない中小企業は、国の宝どころか、負担でしかないのです。」とのことだが、いかにも西洋人らしい合理的な考えですね。暴言に近い気もします。ただし、数字として生産性が低いことは事実です。その原因は日本の産業構造にある、とのこと。たしかに、国が中小企業を弱者であるとみなし、保護や優遇をしすぎていて、8割が赤字でも何の手も打たないというのもおかしなことだと感じます。農業を守りすぎて、自活できない農家が増え、結局農業が衰退していったように、日本の産業もそうなってしまわないよう危惧しています。菅内閣が今までの産業構造を変えることに期待したいと思います。
僕も今までたくさんの素晴らしい経営者や個人事業主とお会いしてきました。しかし自分の専門分野には詳しいけれど経営に関しては、あまり詳しい知識や高い意識を持っている人が多くない、と感じています。国は税制を優遇したり補助金を出すのも良いのですが、経営者に対して経営の「教育」や「啓蒙」など、根本的な政策に力を入れてほしいと思っています。
経営の勉強は経営学部の大学生が行っているようですが、そうではなく、中学生ぐらいから経営や経済活動に関する教育を行い、黒字を出せる起業家を増やすとか、社会人教育にも力を入れてもっと教育を行うべきだと感じます。これまでも中小企業庁も様々なサポートは設けてはいるますが、非常にわかりにくく、なかなか使いづらいき気がしています。中小企業診断士と言う難関の国家試験もありますが、実態は資格取得者の7割が大企業のサラリーマンが昇進や給与アップのためや自己啓発のために取得する人が多く、中小企業のコンサルタントとして独立しているのはほんの一部分という、なんともお粗末な現状です。
政府も一新された今、大きなナタを振り下ろす良い機会だと思います。菅氏も税金も払えないようなゾンビ企業は消えてもらうこともやむを得ないと考えているようです。しかし、単に中小企業を淘汰させるというだけではなく、毎日真面目に頑張って働いている志とやる気のある経営者とその従業員に対しては、冷たい措置ではなく、人が幸せになるような政治を行ってほしいと期待をしています。
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