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あなたは何のために今の仕事をやっているのですか?

起業家や経営者のご相談を受けることが多いのですが、自分の事業を何のためにやっているのか、「経営理念」をはっきり持っている人とあまり感じられない人がいる気がします。

起業する人は様々な想いや理由があって所属している安定した会社を辞めて独立します。
なぜこのお仕事で独立したいのでしょうか?と必ず質問してみます。すると、

「自分の好きなことを仕事にしたいから」
「人に喜んでもらえることが幸せだから」
「自分がやりたいこと、できること、求められていること、の3つが重なったことがビジネスの成功の秘訣なので」

などがよく聞かれます。僕も同じ意見です。どれも素晴らしいと思います。しかし、それだけで良いのでしょうか?
これらは理念ではありません。
「何のためにあなたの事業はこの社会に存在しているのか?」
の答えにはなっていないのです。

そもそも理念の意味はなんでしょうか。
辞書(大字林)には「ある物事についての、こうあるべきだという根本の考え」
とあります。

つまり「経営理念」は「経営の根本の考えや、その企業のあり方」と言えるでしょう。
企業の哲学と言ってもよく、どんな時でも、経営理念を基準として経営判断をするものです。

上にあげたご意見は全て「自分の満足のため」だと言うことに気づいたでしょうか?

「自分の好きなことを仕事にしたいから」→自分のため
「人に喜んでもらえることが幸せだから」→自分の幸せのため
「自分がやりたいこと、できること、求められていること、の3つが重なったことがビジネスの成功の秘訣なので」→自分のためにビジネスがうまくいきそう

皆さんは「経営の根本の考えや、その企業のあり方が自社の幸せのためという会社にお金を払って何かを買いたいと思いますか?
自分のためというのはまさにエゴのことです。だからこれだけでは長く続かないのです。
有名企業の経営理念を見てみましょう。

京セラの経営理念
全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること。

■コメダホールディングスの経営理念
私たちは珈琲を大切にする心からを通じてお客様にくつろぐ、いちばんいいところを提供します。

グリコの経営理念
「おいしさと健康」美味しさの感動を健康の歓びを生命の輝きをGlicoは、ハート・ヘルス・ライフのフィールドでいきいきとした生活づくりに貢献します。

■セブンイレブンの経営理念
私たちはいかなる時代にもお店と共にあまねく地域社会の利便性を追求し続け毎日の豊かな暮らしを実現する。

それぞれの業種や扱う商品、サービスによって言い方は違うけれども、どこの企業も「自分のため」ではなく、「世のため人のため」が経営理念になっています。

人は自分のためには大きな力は出せませんが、誰かのため、他人のためなら力が湧いてくるものだと思っています。たとえ大きな売り上げが取れそうな時でも、経営理念に矛盾することをやってしまえば、お客さんは敏感に感じ取ります。ましてや不正やうそごまかしはすぐにバレて、どんなに大企業であっても、瞬く間に信頼がなくなり、経営が危うくなった例は数え切れないほどありますよね。不正やうそごまかしはすべてエゴのために行われるものです。
またどんなに経営がピンチなときも、経営理念があればがんばれます。


松下幸之助の言葉をまとめた「不況に克つ12の知恵」という本があります。そこで幸之助は経営理念の大切さを語っています。

経営理念を守る私は六十年にわたって事業経営に携わってきた。そして、その体験を通じて感じるのは経営理念というものの大切さである。いいかえれば〝この会社は何のために存在しているのか。この経営をどういう目的で、またどのようなやり方で行なっていくのか〟という点について、しっかりとした基本の考え方をもつということである。事業経営においては、たとえば技術力も大事、販売力も大事、資金力も大事、また人も大事といったように大切なものは個々にはいろいろあるが、いちばん根本になるのは、正しい経営理念である。それが根底にあってこそ、人も技術も資金もはじめて真に生かされてくる。

今でこそ世界のブランド、パナソニックになっていますが、昭和の時代には倒産の危機が何度もありました。それを乗り越えてこられたのはしっかりとした経営理念が確立されてきたからに他ならないでしょう。

あなたはなぜ、何のために自分のお仕事をしているのでしょうか?
生活のため、食べるため、好きだから…どれも間違っていませんが、今一度自分の仕事というものが誰のために役立っているのかを考えてみるのも良いと思います。

まあ、あまり硬く考えずとも、自分が大好きなことを夢中でやっていたら、いつの間にか人が喜んでくれていた、というのが一番幸せなことなのでしょう。

関連ブログ:松下幸之助の「不況に克つ12の知恵」(2009年リーマンショックの中で発売された本)
http

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熊谷淳一

熊谷淳一

株式会社ノイエ 代表取締役。デザインで経営を伸ばす経営コンサルタント・クリエイティブディレクター。デザインは第5の経営資源としてデザイン経営とマーケティングの研究にいそしむ。 お酒、書と陶芸が好き。 尊敬する人は岡本太郎。
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