(昨日の続きです)
ドイツの教育現場の取材を興味深く見た。小学生の頃から自分の意見をキチンと伝える訓練をしている。抽象画を見て自分の意見を言う授業では論理的に、かつ他の人と異なることを言う。さらに考えることの訓練。課題から思いついた単語を並べていき、そこから発表する文章を作っていく。時間はたったの1分でやらなければならない。番組では女の子がクラスのみんなの前に出て農業について的確でわかりやすい発表をしていた。
このような訓練を小さな時から行っているドイツでは、サッカーの試合でも互いのコミュニケーションがうまくいくので、勝利を収めているという。
番組にはアートディレクターの佐藤可士和がゲストで呼ばれていた。なぜデザイナーが?と思ったが、祖父が言語学者だという。彼は「仕事の中でも、自問自答することで、思考を先鋭化し、考えをぼけた写真がぴしっとピントを合わせていくような作業を行なう。」とコメントしていた。
デザイナーは、様々な表現の中から、問題を解決するためのビジュアルやアイデアを考えなければならない。そのためには、問題は何なのか、それにはどうするべきなのか?といったコンセプトを立てることが非常に重要な作業になってくる。色や形はその次である。もちろん、色形を決めるのにも、自問自答による思考の先鋭化は必要なのだが、いずれにしても非常に論理的な思考や本質を考える力が必要なのである。感性が豊かであればデザイナーになれると思っている人が多いが、それだけではダメなのですね。
僕も普段の仕事の中で、スタッフのデザイナーに、「高校生の現代国語の問題集を買ってきて勉強をしなさい」としつこいほど言う。言語力というのは思考するための重要な要素なのだ。
日本人のその部分の力が急激に低下しているという。教育方法の改善を速やかにしなければ、日本は本当にヤバイ事になる。
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