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戦後の日本人のマインドを今こそ取り戻そう

ソニーが10日発表した2012年3月期連結決算、純損益が4566億円の赤字というニュースが入って来ました。経営者としては頭が痛いどころではない数字ですね。ソニーの社長でなくてよかった、なんて軽口叩きつつも、ソニーの黄金時代をリアルタイムで見てきた僕の世代としてはやや寂しい感もあります。

ソニーだけではなく、他のメーカーも散々らしいですが、どの会社も赤字の原因に東日本大震災とタイの洪水と歴史的な円高をあげています。まあ確かにそうかも知れませんが、もっと根幹的に世界の企業と違っている部分があるのではないかと思ってしまいます。

戦後から高度成長期に乗ってきた日本の会社と、アジアで上昇気流に乗っている会社の共通点はやはりマインドではないだろうかと思います。
戦後の日本の技術者のマインドを代弁しているのが、ソニーの井深大氏が東京通信工業を設立するときに定めた設立趣意書の言葉です。

会社設立の目的
一、真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき自由闊達にして愉快なる理想工場の建設

こういったビジョンを今の日本人は忘れていないだろうか。

真面目なる技術者がどこにいる?人のもつ能力を最高に実力を発揮できる環境がどこにある?自由闊達にして愉快な職場が果たしてどのくらいあるのか。

大手の開発やメーカーは下請けに仕事をまかせて、新しいことは自分で考えない。売れ筋商品の真似をしてばかり。下請け会社は寄らば大樹の陰で安穏としている。護送船団方式で国や自治体におんぶにだっこ。時代がボーダレスになって、韓国や中国、アジアが台頭してくると、日本の大企業もあっという間に急降下。もちろん下請け会社もろとも。

そんな時に災害や円高に見舞われてしまったからといって、それを言い訳にしては違うのではないか。

一、日本再建、文化向上に対する技術面、生産面よりの活発なる活動

今こそ、日本再建という言葉が戦後以来しっくり来る時代はないのではないかと思います。
経済中心ではなく文化向上のための技術、人のための、地球のための技術を目指すときなのでは。

経営方針
一、不当なる儲け主義を廃し、あくまで内容の充実、実質的な活動に重点を置き、いたずらに規模の大を追わず

今までの資本主義社会を反省し、不当な儲け主義をやめて、内容の充実と実質にフォーカスすること。拡大路線がこれからの時代に果たして通用するのだろうか?規模は小さくてもその分野では一番の会社であること。ユニークであること。ポルシェやフェラーリはトヨタやGMに比べれば弱小企業ですがトヨタには作れない車を作れます。そんな会社がたくさんできると素敵じゃないですか。

これらのことは大企業だけではなく、中小企業も同じことが言えます。そもそも井深さんがこの趣意書を書いたのは戦争が終わって5ヶ月後の1946年1月です。社員はまだ20人で日本橋の白木屋の3階を借りて営業していた零細企業の社長さんが書いたものです。

もう一度、井深さんの設立趣意書をじっくりと読みなおして、戦後の日本人のマインドを今こそ取り戻すにはどうすれば良いのか、考えてみたいと思います。

設立趣意書の全文はこちらから

デザイン
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熊谷淳一

熊谷淳一

株式会社ノイエ 代表取締役。デザインで経営を伸ばす経営コンサルタント・クリエイティブディレクター。デザインは第5の経営資源としてデザイン経営とマーケティングの研究にいそしむ。 お酒、書と陶芸が好き。 尊敬する人は岡本太郎。
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