昨日からの続きです。サイン表示の文字が古い明朝体で多少おっかない雰囲気を醸しだしていようとも、病院はデザインよりも医療の設備や優秀な医者やスタッフが揃っていることのほうがやっぱり重要です。多少シンボルマークが垢抜けなくても、まあ移動でも良いのかもしれません。健康という重要な価値に比べればちっぽけなものなのかもしれません。
治療に満足出来ればリピートするでしょう。わざわざとなり町の病院に出向くことも面倒です。病院は近いに越したことはない。
しかし民間の企業はそうとは限りません。気に入らなければお客さんはすぐに他の店、他の会社に乗り換えます。インターネットで買い物ができる現代は、別にとなり町に出向く必要もありません。自宅でクリックひとつで買い物は終了です。
お客さんはデザインが悪いというクレームはつけてくれません。ただし「なんだか嫌な感じ」とか「この会社大丈夫かなあ…」といった感情を確実に潜在意識で感じています。だまーって他の会社に行くでしょう。
病院も、もしも技術的な差がなければ良い雰囲気の方に行きたくなります。会社も商品やサービスが同じだったらデザインの良い方から買いたくなります。これは自分が消費者の立場だったらわかるはずですが、売り手の立場になると急にわからなくなってしまう経営者がたくさんいるのを感じます。自分の懐から出すお金は慎重になるからね。デザインに出して良いかどうか不安になるのですね。
やはり費用対効果が明確にわからないということが経営者がデザインに投資をすることを躊躇させてしまうのではと思います。
数字ではっきり効果が出ればわかりやすいのですが、デザインに投資して良いのかどうかはなかなか難しいですね。しかし難しいから、経営判断なのです。簡単であれば課長クラスの若造に考えさせれば良いことです。経営者がデザインに関してもっと見解を深め、見識を広げて行っていただければと願っています。そうすれば良いデザインもわかってきますし、経営の全体の中でデザインをどう活用して効果を出していって良いのかが俯瞰できます。これからの経営者はデザインマネジメント能力が重要になってくると考えています。
欧米では随分前からビジネススクールでデザインマネジメントを教えています。日本でも東京大学や早稲田大学などがデザインを語り始めました。CI会社のパオスの中西元男氏は桑沢デザイン学校で、STRAMDという経営とデザインを融合させるスクールをはじめました。放送大学でも「産業とデザイン」という講座が今年の新年度から始まりました。中国や観光などのアジアの国々はデザインに国家が大きな予算をつけていることは再三このブログでもお知らせしているとおりです。なぜならば、デザインは国を伸ばす産業に欠かせないと言うことを温家宝氏や李明博氏は知っているからです。
中小企業の経営者のみなさん、デザインに感心を持ちましょう!
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