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話題の青黒、白金ドレスはなぜ色が違って見えるのか?解説します。

先日うちのデザイナーがやってきて画像を見せながら

「熊谷さん、このドレス何色に見えます?」

「薄いグレー地に薄茶色のストライプ。」

「これは青地に黒のストライプに見えませんか?」

「いや、見えない。」

「私も昨日は白と金に見えたんですけど、今日になって黒と青にしか見えなくなっちゃったんです。」

「これのどこが黒で、どこが青なの?この白い部分はうっすら青いけれど、コレが濃い青い布の写真とか言ってるのおかしいんじゃない。
あなた、デザイナーだろう。目 大丈夫か?。」

「いいえ、もう黒と青にしか見えないんです!」

「なんかの心理テスト?騙されやすいんじゃないの?怪しい壷をかわされちゃうタイプだね。
この美しい金色のラインがどうして黒なの?黒というのは一番暗い色なんだよ、この金色はそこまで明度は低くないだろう!」
「いいえ、これは黒と青なんです!そうなんです!
熊谷さん、明日また見てくださいよ!
絶対に黒と青に見えますから。」

一夜明けて…
かみさんが 「これ何色に見える? 」
とiPadを持ってきて、きのう見せられたドレスの写真を差し出した。

ゲゲゲゲ!
そこにはきれいに黒と青のドレスの写真が!
昨日はあんなに美しい金と白のドレスだったのに。
目の前にある写真はたしかに黒と青の配色の写真。
昨日の記憶にある写真を思い出す。そのギャップが凄まじい。

うちのデザイナーはこのイメージを見ていたんだなと、初めて理解した。
かみさんはどうみても白と金にしか見えないと言い張った。
そこには昨日の自分がいた。

どう見ても、黒と美しいブルー。黒と言っても赤みがかった濃いこげ茶色ではあるが、ほとんど黒と言っていい。黒い布に光を当てるとこんな感じに見える。ブルーは結構鮮やかな彩度を持っている。どう見たって昨日見た薄い青みがかった白い布ではない。

僕も怪しい壷を買っちゃうタイプかも。
昨日デザイナーに言い放った言葉を反省。

これはどういう事なのか?
色の専門家の立場から考察してみました。

実際はどんな色なのか、写真をパソコンで分析してみました。実際は図1のようなこげ茶色と渋い青紫色なのです。

実際の色

これが黒と青に見えるのはまあ、無理はない。いくら黒い色でも明るいところで見れば厳密に言って暗いグレーに見えるし、写真によって赤く色が変化したり青っぽく写ったりして、黒が茶色に見えるのもよくある事です。
実物の商品はけっこうきつい青と黒です。

しかし、なぜこれが白と金に見えてしまったのか?二つの要因があると思います。
ひとつは「色の錯視現象」と言ってつまり目の錯覚。正しくは脳が勘違いを起こしているのであろうと思われます。
ふたつめは「色の恒常性」といってある物体を異なる照明環境で見たときに、色が変わって見えるはずなのに、変わっていると知覚しない現象のことです。

「色の錯視現象」にはさまざまな種類がありますが、今回はその中でも「明度対比」と「彩度対比」の影響でしょう。

「明度対比」というのは周りの環境によって、同じ色でも明るく見えたり暗く見えたりという錯覚を起こすことです。(図2)

明度対比

図2 同じグレーだが、左が暗く見えて右が明るく見える

面白いのがチェッカーシャドウ錯視です。(図3)
どう見たって同じ明るさに見えない。昨日僕がうちのデザイナーに言っていた言葉。
「 この白い部分はうっすら青いけれど、コレが濃い青い布の写真とか言ってるのおかしいんじゃない。」って言いたくなるくらいに同じ色に見えない。

そして「補色対比」というのは隣の色の補色の色を生成してその影響を受けるというものです。
例えば青緑色の背景の場合、補色にあたる赤色の補色を生成すると考えられ、ピンク色を単独で見たときよりも、ピンク色に赤色の影響が働き彩度がより高くなります。(図4)

図3

図3 左の図のAとBのマスの色は実は同じ!

 

図4

図4 同じピンクだが、左が鮮やかに見えて右が鈍く見える

「色の恒常性」とは、たとえば白い紙を朝日の青い光の中で見ても、夕日の赤い光の中で見ても、どちらも「白い紙」と認識します。実際は青白くなったりベージュ色になったりしているのですが、いちいちそんな風に感じません。
これは色を感じる目のセンサーが,赤,緑,青の色光を相対的に識別しているためです。脳の中に画像編集ソフトのPhotoshopがあって、R、G、Bの量の調整をしているみたいな感じです。
おそらくドレスの写真を見るときに、この写真は明るいところで撮影された写真なのか?それとも、逆光の中で撮られた写真で、暗く写っているのか?という最初の思い込みによって、「色の恒常性」が働き、見え方が違ってくるのだと思われます。

明るい光の中で青黒のドレスを見たと思い込んだ場合、順光なので見たとおり、明るい部分は青でこげ茶色の部分は黒であろう、と脳は判断した。実際の色である図1の通りに判断するでしょう。

しかし 右上に光のフレアがあるので逆光の写真だ、と思い込んで見た人は、白金のドレスを見た逆光なので、本来の色はもっと明るいはず。だからうす青い部分は白で、薄茶色い部分は金色だろう、と脳は判断したのではないかなと思います。

ホワイトバランスを変えてみたら、僕が昨日見たイメージとほとんど同じ画像ができました。グラデーションを作って比較してみたら、補正した色とほぼ同じ色がありました。(図5,6)

図5

図6

さらに青と茶色というのは補色関係にあるので(青と黄色は補色)、青色の影響で薄茶色はより鮮やかで明るい茶色、つまりより金色に近く見えた、という補色対比も重なったのではないかなと考えました。(図7)

図7

今では僕はもう青黒にしか見えなくなってしまいました。
どうやっても昨日のような白金のドレスにもう見えてくれない。
まあ、実際は図1の色で、白金が錯覚だったんだからね。
実際の商品も結構きつい青と黒のドレスです。

錯覚って怖い。昨日と今日では全然見え方が違う。
理論はわかっていましたが、実際に体験するとびっくりです。
視覚的なメカニズムも面白いけれど、思い込みというのはすごい。
どう思い込むかで、何が見えるのかが変わってくるとは…。

いろいろ考えさせられました。

ちなみに、かみさんはいまだに白と金の色にしか見えないと言い張っています。
それは錯覚だって。ずっと錯覚しっ放しというのも、どうなの?


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熊谷淳一

熊谷淳一

株式会社ノイエ 代表取締役。デザインで経営を伸ばす経営コンサルタント・クリエイティブディレクター。デザインは第5の経営資源としてデザイン経営とマーケティングの研究にいそしむ。 お酒、書と陶芸が好き。 尊敬する人は岡本太郎。
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