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感性工学会の大会
2日目

2日目の目玉は特別講演として、茂木健一郎氏、グラフィックデザイナーの佐藤卓氏、マーケティングの小坂裕司氏、と電通の佐々木厚氏が司会でのトークセッションでした。
佐藤さんは開始の20分位前から会場にいらしてじっと座っていました。茂木さんは開始の5分前に会場に入ってきておもむろに壇上に上がり、関係者に挨拶なしで後ろ向きにしゃがみこんでナップザックをしばらくの間ガサゴソとしていた。関係者も声をかけられずに遠巻きに見守っていて、それに気づいた茂木氏は、あーどうもどうも!なんてでかい声で挨拶していました。その破天荒ぶりは見ていて面白かった。
セッションの方は70分という短い時間でしたが、非常に示唆に富んだ内容でした。
はじめに佐藤氏のデザインをスライドで写し、簡単な説明。
茂木氏の「日本のデザインはつまらない」から始まって、売るためのデザインばかりで人が使うためのデザインが少ない。茂木氏が辛口な意見をかますのですが、とても共感できるコメント。椅子に落っこちそうにのけぞって座っていると思いきや、叫ぶような調子でハイテンションでコメントを語る。NHKで見るイメージとだいぶ違っていて変なおじさんでした。しかし非常に自由なクリエイティブな人だというのは感じましたね。
「ダイソンはエンジニアリングの結集として、あの掃除機や羽のない扇風機のデザインを作っている。彼らはデザインマインドを持っているが、日本はデザイナーとエンジニアがまったく別なので、良いモノが生まれてこない。デザイナーはもっと技術を知り、エンジニアはもっとデザインマインドを学ぶべきだ。」という昨日もあちこちで聞かれたご意見。
経営者はもっとデザインマインドを持っていなければ良いモノは生まれない。組織のあり方も日本はおかしい。と言った組織論まで。まさにデザインマネジメントの必要性が問われています。多数決や合議制でデザインを決定したり、売れなければデザインを変えればいい、とか、(人のためではなく)新製品のための新製品作りを行っている、といった日本の経営トップが今までの仕組みを変えなければ、デザインも売れる商品も生まれない。という批判。しかしその通りだと思います。
佐藤氏からは、デザインは特別視されてしまっている。「デザイン家電」とかいう言い方はデザインを理解していない。何か特別に専門家が形を考えて、付加価値をつけている事をデザインと考えられてしまっているようだ。しかし、実は身の回りのあらゆるモノがデザインされていて、自分自身も毎日無意識にデザインをしているのだと、気づかなければならない。デザインという言葉が特別なカテゴライズされないようになってはじめて、デザインが社会に溶け込んだ快適な世の中になるのだろう。などなど、立ち上がって拍手したいほど共感しました。
しかし、これらの事ががこの日本で実現するのか?問題が解決されるのか?
今のところ期待できる材料が見えてきません。
大きな動きは見えませんが、個人レベルではこれらの事に気がついて、言いはじめた人が僕の周りにもチラチラ出現し始めたかなあ〜?という感じでしょうか。
僕も傍観せずに行動に移していかなければなりません。
講義が終わって、僕の隣にいた60代のエンジニアとお見うけするおじさん二人が語っていました。「ダイソンは特別なんだよなあ、それにあんなうるさくて吸い込まない掃除機は、日本の消費者は誰も買わないし、トップは製品化しないだろう。ああいう輩(茂木氏の事)が、メディアであんな事を言いふらしてる限り、日本はダメだね。」
何が特別なのかな?そんなうるさくて吸い込まない掃除機でも5万で売れて、ダイソンはたった10年でメジャーな世界企業になれたのはなぜなのでしょう?
他者を否定するところに進歩はありません。自分を否定するところから、次の扉が見えてきます。まあ、60過ぎたおっさんだからね。若いエンジニアにはがんばって欲しい。
もちろんデザイナーもがんばります!

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デザイン
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熊谷淳一

熊谷淳一

株式会社ノイエ 代表取締役。デザインで経営を伸ばす経営コンサルタント・クリエイティブディレクター。デザインは第5の経営資源としてデザイン経営とマーケティングの研究にいそしむ。 お酒、書と陶芸が好き。 尊敬する人は岡本太郎。
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