10日に雑誌「東洋経済」が主催するセミナーに行ってきました。「Design based Management Forum 2008 経営戦略とデザイン〜感性価値時代におけるイノベーション」です。
多摩大学大学院教授の紺野登氏、森ビル、シャープ、日産自動車、サムスンのデザイン担当のリーダーの方々と、セミナーの最後には、イタリアでフェラーリのデザインをしていた工業デザイナーの奥山清行氏の講演でした。午前10時から夕方5時まで、びっっちり話を聞いたが、集中力が切れることなく、おもしろく勉強になりました。
なかでも、奥山氏の講演は日本の物作りの課題を取り上げ、興味深かった。
過去の成功体験が硬直化した組織を作ってしまい、クリエイティブな無くなってきている。自社ブランドを持たず、大企業の下請け業務が主体の中小企業となり、市場からの乖離しているために、社会のニーズが見えていない、など、イタリアの職人さん達と比較して日本の硬直した現状を鋭く指摘していると思いました。
奥山氏は山形の木工や鋳造の職人さんとコラボレーションし、現代的な工芸品や家具を生み出し、フランスなどで展示会を開いており、日本の伝統的で、かつモダンなデザインが評判になっているとか。
NHKの「プロフェッショナル」や、テレビ東京の「カンブリア宮殿」などにも出演されていましたが、テレビで見たままの、情熱的な方でした。
「カンブリア宮殿」の中で「補助金が日本のモノづくりをダメにした」とおっしゃっていたように、補助金に頼らず、自分たちでくふうし、意識を高めていかないと、このまま日本の伝統技術や職人さんはすぐに消えてしまうことは確実だと思います。
大企業でも作れない、ものすごい技術を持った職人さんや中小企業がたくさんあるのに、「何を作っていいのかがわからない。言ってくれればつくる。」と言われていることに危機感を感じました。
職人さん達はデザインや、商品プロデュースに関しては疎いということであれば、奥山氏のようなデザイナーが積極的に職人さん達と共同で新しい物を作っていかなければならないと思います。
同じような事例に、グラフィックデザイナーの左合ひとみ氏が新潟県の燕市の金属加工の職人さんとコラボして、食器を作っていたり、最近見かけるようにはなりました。
しかし消費者側の意識が決して高くはなく、なかなかビジネスに結びつかない所に、「日本のものづくり」に課題がある、と言うよりも、「日本人の文化意識の低さ」のほうに問題があるのではと感じました。
コメント