大阪万博のシンボルマークにこれが決定したというのを知り、その日一日、鬱々とした気分になった。
候補に上がった5つのデザインのうち、第一印象が「嫌な感じ」だった。
これを選んだ人はアホなのか?気味悪いと思わないのか?僕がおかしいのか?ありえないな、と思いました。
決定した後にボツになった東京オリンピックのデザイン案の方がまだ良かった。少なくとも気持ち悪いとか、不快、不気味、などという感情は起こさないデザインだった。暗かったけれどね。
その日Twitterでは、不満の声であふれた、かに見えたのですが、ナント時間が経つにつれ、そのマークを面白おかしくアレンジしてアート作品に仕立ててアップする者が数多く現れました。
オイ、オイ、著作者人格権の同一性保持権の侵害だぞ。
そんなことはお構いなしで、イラスト、漫画、立体オブジェ、3G、アニメ、人形、アクセサリー、パン、プチトマトなどで面白がって、囃立てるようにみんなで盛り上がっている。空気は割とまさかの好意的だ。
めちゃめちゃ気持ちの悪い作品もたくさんあるのだが、たくさんのアート作品?を見ていたら、この不気味なキャラクターが可愛らしく見えてきました。
候補の5つのデザインの中でどれに決まれば満足だったのか?
僕は実はどれも好きではありませんでした。
A案も美しくないし、B案はカラフルで躍動感はあるとしてもまぁ新しくないしC案は1番それっぽいとは言え、これが決まってしまったらつまらんなと思ったし、D案は1番嫌い。汚い。なんでこれが候補なのか?今回の決定版は気持ちが悪くて不快な感じを受けた。
結局どれに決まっても気分は良くなかったのであろう。
しかしTwitterにどんどん上がってくるあの気持ちの悪いマークをアレンジしたアート作品を見ているとだんだん可愛くなってくる、愛着が湧いてくる不思議。
実はシンボルマーク、ロゴマークと言うのはその形や色自体が持つ印象だけで成り立っているのではなく、そのマークがどう使われるのか、そのマークが持つ背景の世界観やストーリーがシンボルマークの印象を決定付ける要因なのだと思っています。
今回のアート作品郡がこのシンボルマークをいろんな視点から見て様々な表現で楽しんでいる人たちの世界感や雰囲気がこの気持ちの悪いマークの不気味さを抑えているのでしょう。
僕の世代だとソニーのSONYと言う何の変哲もないロゴマークを見ただけでかっこいい!と感じてしまう。それはソニーの洗練された製品や創業者の成功ストーリーを知っているから。
アサヒビールのギザギザにとんがったロゴマークも、初代NTT ドコモのロゴマークも、最初の印象は、え!これ?これはひどい。と感じたものです。
大阪万博2025のシンボルマークも、今後のプロモーションで、どんなふうに楽しく、明るく、スマートに展開させるかがポイントになってくるのでしょう。
それは小さな会社のマークにも同じことがいえます。マークのデザインができて完成ではなく、そこからがブランドを育てる作業の始まりです。マークをデザインするデザイナーはデザインを納品しておしまいだと思っていますが、本当はそこからがデザイナーの腕の見せ所であって、経営者はデザイナーと共にブランドを育てていくという考えを持っていただきたいと思います。
1970年の大阪万博の時、太陽の塔がお披露目された時の評判が最悪だったと言われています。しかし今やあんなに愛されているオブジェは他にないでしょう。デザインの印象や感じ方は時代によって変化していくものです。この気持ち悪いマークが愛されるようなキャラクターになる事を少しだけ期待しつつ、しかしそんな事できんのか?と斜めに見守っていきたいと思います。
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