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「悩んだら、困難な道を選べ」―岡本太郎の毒が教えてくれた、経営とデザインの本質

自分の中に毒を持て「芸術は爆発だ!」
誰もが一度は耳にしたことがあるこのフレーズ。若い頃の僕は、この言葉をどこか遠い世界の、天才芸術家だけの特権だと思っていました。でも、デザイン会社を経営して30年、数多くのプロジェクトや、数々の手痛い失敗を経験してきた今の僕には、この言葉がひしひしと、痛みを持って響くんです。

僕が尊敬する人物として挙げている岡本太郎さん。彼の哲学、特に「自分の中に毒を持て」という書籍は、僕の今の仕事のスタイルやコンサルティングの根底に流れています。今日は、僕が彼から学んだ「クリエイティブの爆発力」と、それがビジネスにおいていかに重要かという話をしてみたいと思います。


どちらに行くか悩んだ時は、あえて「困難な道」を選ぶ

岡本太郎さんの言葉の中に、僕が人生の指針にしているものがあります。
「もし、どちらの道を行くか迷ったら、必ず困難な方の道を選べ」という教え。

これ、言うのは簡単ですが、いざ実行するとなると本当に怖いですよね。人間、誰だって楽な方へ、安全な方へと流されるものです。僕自身、過去に勤めていたデザイン会社が倒産して解雇になった時に、給料未払いのまま、そこでしばらく働き続ける選択をした時は、「なぜあんな苦しい道を選んでしまったのか」と自問自答したこともあります。

でもね、今振り返ってみると、僕を成長させてくれたのは、いつだってその「困難な道」でした。
デザインの現場でも同じです。クライアントから「当たり障りのない、綺麗なものを作ってください」と言われることがあります。その通りに作るのが一番楽で、一番「安全」かもしれません。

けれど、それでは「爆発」は起きない。
市場に溢れる似たようなデザインの中に埋もれ、誰の心も動かさずに消えていく。それって、デザインが存在しないのと同じことなんです。だから僕は、コンサルティングの現場でも、あえてクライアントにとって少し耳が痛いことや、挑戦が必要な「困難な提案」をすることがあります。それが、その会社を本当に救う唯一の道だと信じているからです。


岡本太郎さんは「自分の中に毒を持て」と言いました。

これは決して、他人を傷つけろという意味ではありません。自分を安売りせず、世間の常識や「良し」とされる価値観に自分を合わせるな、という自分自身への「誠実さ」のことだと僕は解釈しています。

僕たちデザイナーや経営者が一番陥りやすい罠は、周囲の目を気にして「いい子」になろうとすること。
「最近はAIがなんでも作ってくれるから、無難なものが正解だよね」
「3ヶ月勉強すればプロになれるって言うし、適当にこなせばいいや」
そんな風に、自分の「感性」や「審美眼」に蓋をしてしまう。これこそが、自分に対する最大の裏切りであり、一番の悪い毒なんじゃないかなと思うんです。

僕がロゴマーク一つ作るのに、徹底的にヒアリングを行い、常に経営戦略そのものにまで踏み込むのは、クライアントの「本質」を抉り出したいからです。表面的な綺麗さ(装飾)ではなく、その会社が持つ「独自の毒(個性)」を見つけ出し、それをデザインとして爆発させる。その覚悟がないデザインは、結局のところ、ただの作業員が作った紙屑に過ぎません。

デザインは「知的な格闘技」である
以前、博物館で作品を見た時にも感じましたが、本物の作品には「強烈な爆発力」があります。整いすぎていない、どこか圧があり、目が離せないエネルギー。

「なんとなく良い」ではなく「理論的に正しい」こと。そして、その理論を飛び越えるような「情熱」が乗っていること。これを両立させるのは、まさに格闘技のようなエネルギーを消費します。僕が目指しているのも、そんなデザインです。

簿記を勉強したり、経営学をデザイナーのキャリア戦略に転用したりと、僕が泥臭い努力を続けているのも、すべてはこの「爆発力」を最大化するためのトレーニングなんです。

「3ヶ月でセンス不要」なんて甘い言葉に毒されてはいけません。本物は、いつだって自分と向き合い、苦しみながら、それでも困難な方を選び取った先にしか現れない。僕はそう確信しています。

岡本太郎さんの哲学は、僕にとって単なる芸術論ではなく、生き方に影響を与えました。
もしあなたが今、経営の方向性やクリエイティブの壁にぶつかって悩んでいるなら、ぜひ自分に問いかけてみてください。

「自分を安全な場所に閉じ込めていないか?」
「自分自身の毒を、消してしまっていないか?」

デザインも経営も、綺麗にまとめようとするほど、その生命力は失われていきます。
時には常識を壊し、自分の中の衝動を信じて爆発させてみる。その勇気が、停滞した現状を打破する唯一の鍵になります。

どちらの道を行くか悩んだ時は、困難な方を選びましょう。
その先にある景色は、きっとあなたにしか見ることができない、最高にクリエイティブな世界であるはずです。

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デザイン経営
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熊谷淳一

熊谷淳一

株式会社ノイエ 代表取締役。デザインで経営を伸ばす経営コンサルタント・クリエイティブディレクター。デザインは第5の経営資源としてデザイン経営とマーケティングの研究にいそしむ。 お酒、書と陶芸が好き。 尊敬する人は岡本太郎。
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