美術館が大切にしていることを
汲み取って作成していただけました。
新しい雰囲気を出せたと思います。
本郷新記念札幌彫刻美術館
学芸員 梅村尚幸様
美術館紹介 | 北海道札幌市にある美術館です。日本を代表する札幌生まれの彫刻家・本郷新氏の彫刻・絵画などの作品が多数所蔵されています。 |
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課題・目的 | 企画展『生命体の存在』の看板、ポスター等の制作。 これまでの彫刻の概念を超えた、8人の作家による様々な素材や技法の作品を集めた企画展。 現代アート、彫刻、工芸が好きな老若男女をターゲットとし、「生命感」、「神秘性」、「彫刻の多様性」などを感じさせるものにしたい。 |
アプローチ | 生命感と自然感:生命を感じさせる有機的な形や、自然をイメージさせる色彩や形態などをモチーフとして、明るく躍動感のあるレイアウトにより、未来の新しい彫刻への展望を感じさせるデザインにしました。 彫刻の多様性:メインの作品を大きく配置しつつ、他の出品作家の作品も同時に表示して、様々な素材感や表現の作品が展示される企画展であることを訴求しました。 若い年齢層の方や女性に訴求:作品の写真をメインに、生命や自然を感じさせるオブジェクトを交え、繊細で明るく、元気で躍動感のあるイメージ、女性にも受け入れられる、モダンでお洒落な雰囲気にしました。 |
制作物 | ポスター(A2、B2サイズ)、チラシ(A4サイズ)、看板、チケット、図録 表紙デザイン・フォーマットデザイン(A5サイズ/48ページ) |
結果 | 来場者数は平均よりも116%多く、比較的若い層の来場者も獲得できました。 |
Webサイト | 本郷新記念札幌彫刻美術館 |
予定より多くのデザイン案を出していただいて熱意を感じました
熊谷:展覧会の開始から1ヶ月ほど経ちますが、お客さんの入りはいかがでしょうか?
梅村様:結構順調ですね。そこそこ入ってるなという感じです。
色々な媒体で告知されてきて、地元の新聞でも大きく取り上げられる予定なので、これからまた伸びてくるかなというところです。
熊谷:良かったです。『美術手帖』などでも大きく取り上げられていますよね。
仕上がったデザインにはどんな感想を持たれていますか?
梅村様:すごく良いものができたなと思っています。最初は2案という話だったのが、5案も出していただいて熱意を感じました。
熊谷:最初は予算的に2案くらいでということだったのですが、やっぱりとことんやろう、いいものをこだわって作ろう、と作っていったらいくつもできてしまい、たくさんデザイン案をお出ししてしまいました。
その中で、「選んでもらいたいな」と思っていたものを梅村さんに選んでいただいたので、僕も嬉しかったです。
梅村様:結構悩んだんですけどね。
熊谷:そうなんですね。他にも候補に残ったものがあったとお聞きしましたが、どうやって決定されたのでしょうか?
梅村様:デザインを館長と広げて見て、5案のうち3案がいい感じだね、この3つの中ならどれでもいけるんじゃないか、となりました。最終的には私が決めました。
熊谷:その後、チケットなど他のアイテムに展開して行きました。チケットは企画展ごとにデザインして作っているのですか?
梅村様:そうですね、企画展ごとに作っています。
熊谷:チケットまで企画展ごとに作るのはなかなか珍しいなと思いました。国立博物館など大きなところは都度作りますが、予算もかかるし安く済ませるところが多いので、小さなアイテムまできっちり作られていて嬉しいなと思いながらデザインしていました。
弊社に声をかけていただいたきっかけはなんでしょうか?
梅村様:昨年の地域創造の学芸員研修※での「効果的なチラシの作り方」の実践例がとてもわかりやすくて、私は横で聞いている立場でしたが、美術館に戻ったら実践してみたいと思っていました。
研修でいただいた、デザインコンセプトなどをまとめるフォーマットを使わせていただいて、最初は地元のデザイナーにお願いしようと考えていましたが、フォーマットを使うからにはノイエさんに声をかけてみようかな、と思いまして。
※2022年に山形県で行われた酒田市美術館様・一般財団法人地域創造様主催の美術館・博物館職員、学芸員の方向けの研修会。熊谷が「展示グラフィックと集客ツール」をテーマに講師を務めた。
熊谷:地域創造の研修は出向だったのでしょうか?
梅村様:出向で二年間地域創造に勤めていて、その時に研修会の主催者として酒田市に出張させてもらいました。
熊谷:これもご縁ですね。山形の研修では本当に楽しい思い出しかありません。
言われたことだけでなく、提案をしてくれるのですごく助かりました
熊谷:今回、メールやzoomでやりとりさせていただきましたが、対応はいかがだったでしょうか?
梅村様:メールの返信もスムーズですし、要望にも真摯に対応してくれて、言われた通りにやるというよりは提案を付け加えて意見もしてくれるのですごく助かりました。
熊谷:いつもは地元のデザイナーさんや印刷会社の社内デザイナーさんに依頼されているのでしょうか?
梅村様:デザイナーさんを立てることもあるし印刷会社の社内デザイナーさんにやってもらうこともあります。 ただ、印刷会社の社内デザイナーはクオリティが問題になる時があって……。期待値まで来なくて結構苦労した経験があります。
熊谷:うまくいかないこともあったのですね。
梅村様:「もうちょっとこういう感じで」と修正依頼をしたら、言ったそのままをちょろっと直すだけとか……。それだったら自分でできるけど、と思ってしまいました。
言った通りにしかやってくれない、いい意味での驚きが一切ないという不満を感じてたところでした。
熊谷:こうした方がいいんじゃないかと提案をさせていただくというのは、僕が大切にしているところです。
言われた通りにやるだけで提案がないというのは、指示書を書けばいいだけということになるので、専門家の仕事ではないと思っています。
梅村さんをびっくりさせよう、言われた通り以上のものを作ろうとスタッフと頭を悩ませて時間をかけてやりました。
梅村様:それは本当にありがたかったです。
熊谷:それをわかっていただけているのが嬉しいです!ありがとうございます。