「なかなか売れないんだよねえ。いい商品なんだけれどねえ。」というぼやきを聞く事があります。
いい商品なんかすでにたくさん存在します。
さらに何をもって「良い」とするのか、それはお客さんの数だけ違います。つまりこの人にとっては「良い」けれどあの人にとっては「普通」だし、あっちの人にとっては「まったく興味なし」なのです。
「いい商品なんだけれどねえ」と言ってる、その根拠だってはっきりしていないのでは?と思ってしまいます。
商品の特長、機能、こんな場合にこういう風に役に立つ、こんな問題を解決してくれる。そんな商品やサービスの目的や解決方法のことを「商品・サービスのコンセプト」といいます。
このコンセプトとターゲットがぴったり合うと売れるのです。この状態の事を「CT整合」と呼びます。
魚釣りでは、鯛を釣るにはえびを餌にします。ヒラメは小アジやイワシなど 生きた小魚を餌にします。それぞれのお魚が好む餌を用いて釣りをします。
つまりターゲットにふさわしい価値を提供できないといけません。
しかし、この二つを整合させるのが難しい。
コンセプトの明確化とターゲットの絞り込みが売れる秘訣なのですが、売れないとぼやいている人のほとんどがまず、コンセプトが明確でない。
次に、ターゲットが誰だか分かっていないようです。
あなたの強みは何ですか?と尋ねてもはっきり答えられる人は意外と少ない。即答できる人はもっと少ない。「あっちの会社ではなく、あなたから買うメリットは何ですか?」と聞かれて20秒以内に答えられるでしょうか。
「あなたから買うメリット」はターゲットによって違います。品質を重視している人は多少高くても買うでしょう。価格を重視している人にとっては価格が重要。
鯛は生きたイワシなど無視してえびを狙うのです。鯛の目の前に生きたイワシを泳がせても見向きもしません。結構これをやっているのです。
ターゲットを知るにはどうしたら良いのか。
それはその商品サービスを誰が買っているのか、興味を持っているのか、現在のお客様を調査する事です。30代の女性をターゲットに開発した化粧品が、実はデータベースを調べてみると50代の女性が一番多かった。そこで50代の女性が呼んでいる雑誌に広告を出したところ売り上げが大きく伸びたという事例があります。
30代をターゲットと思っていたのにCT整合していなかったのですね。
もう一つ、CT整合できていない理由を考えてみましょう。
「お客さんのことを知る」
というのは、結局のところ何を知る必要があるのでしょうか?
それは「お客さんの欲望」です。欲望には三種類あります。
■ニーズ needs
■ウオンツ wants
■デマンド demand
ニーズは人間が持っている願望です。涼しく過ごしたい、キレイになりたい、モテタイなどという気持ちです。これは企業は作ることができません。
ウオンツはニーズを満たすためのモノに対する欲求です。
楽しい時間を過ごしたいというニーズに対して、トランプや花札を提供して、その商品を“欲しい”と感じさせる。時代が移ってトランプなんてもうつまらない、他になんか楽しいことはないの?というニーズに対して、テレビゲームを開発し、ウオンツを発生させます。
この会社が任天堂ですね。
家の中でこもってばかりではなく、どこにいてもゲームをしたい、そして大人たちにもゲームを楽しんでもらえるようにと開発したのがニンテンドーDS。一人で遊ぶゲームより、家族や友達とコミュニケーションを取りたいというニーズに対して、Wiiというゲームを開発しました。
このように任天堂は人々の時代ごとのニーズをすくってウオンツに変えているのです。
デマンド、つまり需要とは、経済力の裏づけのある欲望。
お客さんの「買いたい」という意欲。 価格と需要量の関係を図示したのが需要曲線で、一般に右下がりの曲線です。これは価格が上がるほど需要量が減少することによりますが、高過ぎれば買うのを躊躇するし、安ければ買いやすい。
任天堂のゲーム機も高すぎず、安すぎず、ソニーのPlayStationを意識した価格が付けられています。
ウオンツとデマンドは企業の側で作り出すことが可能です。目に見えることなので、競合他社に真似されることもあります。しかしニーズは目に見えません。
いかにお客さんのニーズに気がついて、ニーズを満たすモノを提供できるかが重要なのですが、なかなかできていないので、「売れない、売れない」となるのです。
ではどうすればニーズを知ることができるのでしょうか?
次回へつづきます