やさしい経営戦略教室

中小企業こそエフェクチュエーションが有効!

レモネード未知の中から新たなゴールを見出すエフェクチュエーション

従来のビジネス戦略では、まず目標を設定し、それを実現するための計画を立てて実行していくのが定番です。これを「コーゼーション」と呼ばれますが、この方法が主流です。

しかし、VUCA時代と呼ばれる現代のビジネスの世界は常に変化しています。そこで、従来の目標設定型のアプローチではなく、未知の中から新たなゴールを見出すエフェクチュエーションが脚光を浴びています。

エフェクチュエーションとは,サラス・サラスバシー教授が提唱した理論で,手持ちの資源や状況を活かして、新たな可能性を見つけていく、優れた起業家に共通する意思決定プロセスや思考や考え方を発見・体系化した市場創造の実行理論です。(『エフェクチュエーション:市場創造の実効理論』サラス・サラスバシー)


エフェクチュエーション。難しそうな名前ですが、実はとてもシンプルな概念なんです。これは、優れた起業家たちが持つ独特な思考や行動パターンを理論化したもの。つまり、彼らがどのようにして未知の世界に飛び込んで新しいビジネスを生み出すのか、そのプロセスがまさにエフェクチュエーションなのです。

聞き慣れない言葉なので、先に英単語の意味をお伝えすると
英語で「期待する結果を得るために効果のある」という意味の形容詞「effectual」と、働きかけを意味する「〜ation」を組み合わせた言葉なのです。

従来の計画通りに進める方法では、変化の激しい市場に対応できず、失敗してしまう可能性が高い。そんな中で、手持ちの資源や状況を活かして、新たな可能性を見つけていく、経営資源の少ない中小企業にとって、最適な意思決定方法なのです。

エフェクチュエーションでは、まず完璧な計画を立てるのではなく、「許容可能な損失」を決め、リスクを最小限に抑えながら行動していき、現在の手段や状況を活用しながら新たな可能性を見出していくことを重視します。

エフェクチュエーションの5つの原則

エフェクチュエーションには、以下の5つの行動原則があります。

1.許容可能な損失の原則: 失敗しても許容できる範囲のリスクを明確にする
2.クレイジーキルトの原則: 様々な人と協力しながら、試行錯誤を繰り返す
3.手中の烏の原則: 自分が持っている資源や能力を最大限に活用する
4.飛行機の中のパイロットの原則: 状況に合わせて柔軟に計画を変更していく
5.レモネードの原則: 予期せぬ出来事をチャンスに変換する

 

エフェクチュエーションは、ビジネスの世界で未知の道を切り拓くための新しいアプローチ

想像してみてください。あなたは小さな喫茶店を経営しています。周囲には大手チェーン店がたくさんあり、競争が激しい状況です。しかし、あなたはエフェクチュエーションの考え方を取り入れ、独自のアプローチで市場に打ち勝つ方法を見つけることができます。

まず、エフェクチュエーションでは「手中の烏の原則」が重要です。つまり、手元にあるリソースを最大限活用することが求められます。あなたの喫茶店には、地域のコミュニティとの強いつながりがあります。これを活かし、地元のアーティストや音楽家をフィーチャーしたイベントを開催することで、お店に新たな魅力を与えることができます。

次に、「クレイジーキルトの原則」を考えてみましょう。これは、さまざまな情報やリソースを組み合わせて新たなアイデアを生み出すことを意味します。例えば、地元の農家と提携して、季節ごとの特別なコーヒーブレンドを販売したり、個人のパティシエが営む小さなケーキ屋さんと提携することで、地域の産業との連携を深め、顧客に新しい体験を提供することができます。
様々な人と協力しながら、試行錯誤を繰り返すことで、新たな市場やビジネスモデルを生み出していくのです。

また、「許容可能な損失の原則」も重要です。これは、リスクを恐れず、失敗から学ぶことを奨励する考え方です。たとえば、新しいメニューアイテムや店内装飾の変更など、小さな変化を試みることで、顧客の反応を見ながら進化していくことができます。

エフェクチュエーションでは、失敗を恐れません。むしろ、「レモンをレモネードに変える」ように、予期せぬ出来事をチャンスに変換していく柔軟な思考が重要です。


このように、エフェクチュエーションは、小さなビジネスでも、あらゆる業界で活用できる考え方です。リソースを最大限に活用し、新たなアイデアを生み出しながら、失敗を恐れずに前進することで、競争力を高め、成功への道を切り拓くことができるのです。

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