
企業が伝えたいことは、たくさんあります。商品やサービスのメリット、技術力、他社との違い、会社の方針、意欲、将来性…。それを広く正確に伝えられれば良いのですが、これがなかなか難しい。まず伝えたい人に振り向いてもらい届かせること、そして見てもらい読んでもらい説得すること。さらには競合他社との価格競争や技術競争などが立ちはだかり、スムーズに購買まで至るということはほとんどありません。商品やサービスの点で他社に負けてしまっているのであれば売れなくても仕方ありませんが、同じ品質であるのにお客さんの心をつかむ「セールス」の手法や戦略がおざなりになってしまっているために売れないのであれば、それは重大な機会損失です。購買という行為に至るまでには人の心をつかみ、説得する必要があります。そのために企業とお客さんとの上手なコミュニケーションが必要になってくるのです。
企業のコミュニケーション活動は商品を購買させるための広告やチラシばかりではありません。商品やサービス自体のブランドイメージや店舗など売るための空間の環境、企業自身のイメージなど多岐に渡ります。上手なコミュニケーションを図るためにはその実現をサポートする優れた道具が必要です。それがコミュニケーションデザインです。下の表にあるようにコミュニケーションデザインが必要とされる場面は広い範囲に渡ります。
| コミュニケーションのためのツール | |
|---|---|
| 経営戦略・企画・広報 (企業自身のイメージ) |
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| 商品やサービスの開発 (ブランドイメージ) |
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| 販売促進活動 (売るためのツール) |
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| 環境創造、展示活動 (売るための環境) |
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商品やサービスは普通であっても他社よりも伸びていく会社があったり、良い商品でも全く売れないなどということは珍しくありません。悪徳商法やインチキ商品などは、商品は悪い物ですが売り方がうまいために引っかかってしまう人が後を絶ちません。悪い商品でさえも売り方次第では売れてしまうのです。このように経営を伸ばしていく会社は必ず「セールス」が上手なのです。
セールスとはマーケティング用語の意味では「継続的な販売活動」といわれますが、私たちは「セールスとはヒューマンコミュニケーション」だと思っています。ビジネスは信頼が大切です。信頼を築くためにはコミュニケーションの質が大切だと考えます。情報を伝えるだけならば文字があればそれだけで足りるはずです。しかし人は感情の動物と言われるように気持ちやイメージを伴って行動しますので単なるインフォメーションでは心を動かせません。その情報にヒューマン的な要素が感じられなければならないのです。その点で「売り込み」とは違うものであると考えます。ヒューマン的な要素とは、感情を揺さぶるコピーやインパクトを持ったビジュアルだけとは限りません。商品やサービスの特徴をわかりやすく伝える、お客さんの知りたい情報を的確に打ち出す、好印象を与えながら見る人の心に入り込んでいく。これらの真摯で丁寧なお客様の事を考える企業の姿勢が感じられなければお客様は振り向いてくれません。これを実現させるのに必要なのが優れたグラフィックデザインとマーケティングプランであり、企業のイメージ戦略においても商品の販売促進においても重要な経営の「武器」となるのです。
「おもてなし(お持て成し)」という言葉があります。ご馳走や歓待などの何かを「持って」ことを「成す」ということです。「おもてうらなし」つまり表裏のない真心でお客様を迎えるという意味を解く説もあるようです。相手を思う他利の精神。茶道においては「客人に対する思いの深さ」をいいます。
いったいデザインは誰のためのものなのでしょうか?企業のメッセージを伝えるための武器ではありますが、同時にそれは自社のためではなく他者(お客様)のためを思ってなされるべきものだと考えます。デザインは飾ることではなく、目立たせるためにあるのではありません。お客様の心を開いて好きになっていただけるよう、商品やサービスを紹介する「場」であるカタログや広告などのツール類に「お客様をおもてなしする」ための道具であると思うのです。デザインがおざなりなツールは文字が読みにくかったり、色がきつかったり、文章がわかりづらかったりしますし、どこかで見たような凡庸な面白味のないビジュアルであったりします。安っぽかったり雑であったり…。このようなツールを大切なお客様に対して提示していても平気な会社はお客様が離れてしまうのは当然です。
お客様に自社の商品やサービスを紹介させていただくにあたってきちんとしたデザインが必要であり、それは企業のもてなす姿勢であり心だと思います。そしてそこから信頼が生まれるのだと思っています。