マーケティング戦略講座

良いお客様は誰なのかを知るRFM分析

基礎

RFM分析と聞くとなにやら難しく聞こえますが、実は単純です。

一番最近買ってくれたお客様は誰か、頻繁に買ってくれたお客様は誰か、お金をたくさん払ってくださるお客様は誰か、という3つの観点からお客様をタイプ別に分類し、「良いお客様は誰なのかを知る」ための方法です。

 

●Recency(リーセンシー)=最近買ってくれた日

●Frequency(フリークエンシー)=一定期間での購買頻度

●Monetary(マネタリー)=一定期間での購買金額

これらの頭文字を取ってRFM分析といます。

それぞれの観点で、お客様を5段階評価をして行きます。

例えばRecencyなら1ヶ月以内に購入してくださっていれば5点、2ヶ月以内なら4点、3ヶ月以内なら3点など。

業種によって頻度が違うので、スーパーや小売店などは上記でいいですが、美容院などはもう少し期間を広げるなどの工夫が必要です。

 

Frequencyは3ヶ月以内に10回買ってくれたなど頻度が高い人は5点、6回は4点など。

業種によって頻度が様々です。例えば衣料品とクルマなどでは違える必要があります。

Monetaryも同じく、3ヶ月以内に100万円以上買ってくれた人は5点、80~99万円は4点など、これも業種によってバランスを考えます。

 

英語だとなんだか堅いので、ここでは日本人用に漢字一文字にしてみます。

●Recency=近

●Frequency=頻

●Monetary=額

「近頻額分析」としましょう。

このように分類して行くと3種類が5段階あるので、全部で125通りのお客様分析ができます。それぞれのお客様ごとに販促活動やアクションを変えてお客様ごとにきめの細かいアプローチを行うのです。

 

【近5頻5額5】=VIP客

最高のお客様です。最近も頻繁に高額の買い物をしてくれます。

VIPならではの特別な扱いをしてください。あなただけ、という特別サービスをするのです。コストや手間がかかっても、このお客様を逃してはなりません。 80:20の法則のとおりに、このお客様は利益の大きな部分を占めているはずです。

 

【近5頻4額4】=ありがた客

なかなかの金額をお買い上げいただき、最近も良く買いにくる。VIP客までもうすぐです。コミュニケーションを増やし、期待以上のサービスを提供しましょう。

 

【近2頻3額3】=ご無沙汰客

金額はそこそこで良く来たが、最近はあまり顔を見ない。

再来店してもらうために特典をつけるとか、ご無沙汰している方だけの割引クーポンを送るとか。ご無沙汰している原因を知ることは重要です。来店したらご無沙汰の理由をさりげなく聞いてみるとか景品と引き換えのアンケートに答えてもらうなどが必要です。

 

【近1頻5額5】=のがした鯛客

高額のお買い物を頻繁にしていただいたのに、最近はさっぱり来ていない。

これは他店に取られたか、遠くへ引っ越したか、不満があって来なくなったのか。この原因を突き止めなければ現在いるVIP客も同じになる危険があります。

 

【近5頻5額2】=常連客

いつも頻繁に買いにくる。金額が低いのは玉にきず。このような人には、グレードアップな商品を薦めるアップセルや関連商品を薦めるクロスセルを行って、金額を上げる努力をしましょう。

 

【近5頻1額1】=新規客

最近初めて小額の買い物をしたお客様。これはまだ未知数です。これから良いお客様になるかもしれませんし、ならないかもしれません。取引が始まったばかりのお客様です。好きになっていただくには、やはりはじめの印象が大切ですので、サービスは厚めにしましょう。はがきやメールなどでのコミュニケーションも多めに取ると良いでしょう。

 

【近1頻1額5】=一発客

過去に1度だけ高額商品を買ってもらったお客様。この人は不満があって来なくなったか、たまたま来店したのか?一度買った事があるので、再度アプローチをしましょう。

 

【近1頻1額1】=見切り客

このお客様にはエネルギーを使わなくてよいです。むこうも迷惑かもしれませんし。

 

【近5頻4額3】=いつも客

【近3頻3額3】=ふつう客

金額はそこそこだけれど最近も良く買いにくる。この人たちは、様子見です。サービスに力を入れてよいのか、手をかけるべきではないのか見えません。一番難しいところです。このようなお客様が非常に多い場合はビジネスやサービスに問題がありそうです。魅力的ではないということでしょう。

 

RFM分析の応用でおなじみのものが、マイレージサービスやポイントカードです。これらは英語でFrequent Shoppers Program(頻繁客プログラム)といいます。頻繁に通ってくれるお客様に割引や特典をつけるというもの。

会員制の通販や百貨店、エステや美容院などは一般会員カードとプレミアム客カードとVIP客カードなど、カードのデザインを変えて、待遇や割引率も変えていたりします。

 

RFMの数値のうちで一番重要なのが、Recencyです。今現在のお客様を大切にしましょう。 なぜ自分のところで買ってくれるのかを聞いてみましょう。 次にFrequent。なぜ何度も買ってくれるのか。なぜ来なくなってしまったのか?これらを分析してみる必要があります。

 

クーポンをチラシにつけてまき散らしているお店もありますが、クーポンを発行しすぎると、安い価格狙いのお客さんが大量に来てしまい、利益が出ません。そのようなお客さんは他に安い店があると、あっという間に去って行きます。あなたのビジネスに対して何の思いもないお客さんを追いかけないで、あなたのビジネスを気に入ってくれているお客様にこそ割引をするべきです。VIP客は安くしてもしなくても買ってくれるので、割引が必ずしも良いとは限りませんが。

 

時間も人手もコストも決まっている中で、お客様全員に同じ対応はできません。

お客様に順位をつけるという事は、お客様に対してサービスの手を抜く事ではなく、その逆で、良いお客様に今まで以上に尽くす事、あなたのビジネスを好きになってくれているお客様に感謝する事なのです。そしてあなたのビジネスにあまり思い入れがないお客様に対してピンポイントでアピールをして好きになっていただく。そのような戦略を打つためにはお客様のことを正確に把握しておかなければなりません。

 

そのためにはお客様のデータベースを作ること。マーケティングはアートではなくサイエンスです。数字がなければ正確な方向が見えません。

愛想が良いから、美人だから、イケメンだから良い客とは限りません。ぶ愛想で厳しいあの苦手なおっさんが実は良いお客さんかもしれないのです。

 

B to Cだけではなく、B to Bのビジネスも同じです。顧客名簿は年賀状の宛名書きの時にしか使わない、なんてことではいけません。販促というのは自社のインフォメーションをする行為ではなく、人間一人づつとコミュニケーションする行為です。相手のことをよく知るために、さまざまな記録を顧客名簿に記載して、お客様の顔がよく見えるようにしておきましょう。

 

最初は5段階評価ではなく、3段階評価でやってみるのも良いでしょう。大雑把に分類して、とにかく実践して見ることです。

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