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この仕事をやっていて、とっても悲しくなること。

「うわーこのロゴ酷い。せっかくここまでうまくいっている会社なのに、勿体無い!」

悲しい…。悲しいわあ。

悲しい…。悲しいわあ。

「ゲー何これ、社名が他の言葉に読めてしまうし、この歪んだ形は何を表してんの?汚い形」
「縮小した時に、この薄くて細いラインは消えちゃうよ」
「コンセプトのみで説得されちゃったマークだね」
「マークに込められている意味って奴ね。それは造形的な条件をクリアしたうえで語る話だよね」
「このデザイナー、きっとロゴを作ったことないな。□□さんだいじょうぶかなあ」
「□□さんかわいそう…」

これは先日うちのデザイナーと交わした会話。クライアントの□□さんのホームページに見慣れない新しいロゴを発見した時の言葉です。

 

この仕事をやっていて、とっても悲しくなることがあります。
それは弊社のクライアントが他のデザイナーにデザインを依頼してしまうことです。
まあ、確かにそれも悲しいけれど、それはクライアントの自由ですから、仕方ありません。弊社もちゃんとフォローしていなかったり、顧客との関係を継続的に構築することを怠っていたりして、その部分は大いに反省するところです。クライアントさんも、いろんなデザイナーにお願いしたいとか、お金がないとか、あるでしょうし。

別にいいんです。それは。ビジネスですからね。しかし、悲しいのはそのことではなく、他のデザイナーに依頼して出来上がったデザインがあきらかにヒドいデザインだった時です。

立場上、クライアントには「今度のデザイン、酷いですねえ」なんて口が裂けても言えません。お金を出して作られたデザインにケチをつける権利はありません。失礼ですからね。

でもね、今までブランディングや販促のお手伝いをしてきてせっかくビジネスもうまくいっている会社なのに、新しい酷いデザインで、ブランドイメージは崩れてしまい、クライアントのためには良くないということが僕たちにはわかってしまうため、すごく悲しい気持ちになってしまうのです。せっかく綺麗な服装に整えたのに、靴だけボロボロだったり、立ち振る舞いはスマートなのに、使う言葉が下品だったり。そんなチグハグなイメージになってしまうことを、クライアントはわかっていないのです。

その酷いデザインをクライアントが気に入っていることもよくあります。クライアントがデザインをよくわからないのはしょうがないことだと思っています。なぜなら素人なので。素人というのは、バカにしているのではなく、色や形の訓練をしてきていないから、感じる力や見る感覚が鈍いのです。それは当たり前のこと。訓練と修行を積み重ねて来た料理人のプロは味にうるさいけれど、僕のような素人は、何食べてもこれはうまい!みたいに感じてしまうようなものです。

料理はそれでもいいと思います。自分が満足すればそれでいい。自分の人生、自由です。
しかしデザインは激しくNGです。その味が美味しいかどうかは作った料理人やお客様をもてなす立場のホストが気に入った味なのかよりも、もてなされるお客様が食べてどう感じるか?ということが大事なのです。つまり、クライアントのためにデザインをするのではなく、消費者のため、社会のために行うべきものなのです。どうもこの部分をまったくわかっていない経営者とデザイナーが多すぎます。まだまだデザインが理解されていないな、それもデザイナーにすらね。本当に悲しくなってしまいます。

だからこそ、専門家であるプロのデザイナーはそこのところをわかっていなければなりません。多くの経営者がロゴマークやパッケージデザインをチラシのデザイナーや雑誌のデザイナーに発注したり、広告デザイナーにホームページのデザインを発注したりすることもよくありますが、同じグラフィックデザインというジャンルでも、それぞれのデザインのポイントはみんな違うのです。特に、ロゴのデザインは特殊なので、ロゴの経験がないデザイナーにはできないと思って良いでしょう。一般の人にはわかりにくいでしょうね。

寿司屋の板前にフランス料理をオーダーして、中途半端な料理をうまいうまいと食べているような状況が日本の中小企業や個人事業者の中では当たり前になっています。

そして、デザイナーも平気な顔をしてとんでもないものを作っている。仕事を受けるのはいいですよ。ビジネスだし、生活もしていかなければならないからね。でもやるなら、無責任なデザイン作らずに、もっと勉強しろ!と言いたい。
「クライアントの想いを形にします」とかいうキャッチフレーズのデザイナーは間違いなく、このタイプです。クライアントの想いも大切ですが、それをそのまま形にすることはビジネス上ではある意味「エゴ」なのです。お客様の方を向いていないデザインが出来上がります。デザイナーとクライアントが見つめあって二人だけが幸せで、お客様はその外側に取り残されている。これは喜劇ですらあります。

若いデザイナーや独立したてのデザイナーに、こういうケースが多いようです。仕方ない部分はありますが、仕方ないのは最初の2年だけ。あっという間に消えてしまうからね。デザイン、甘く見るなよ。

 

デザイン経営
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熊谷淳一

熊谷淳一

株式会社ノイエ 代表取締役。デザインで経営を伸ばす経営コンサルタント・クリエイティブディレクター。デザインは第5の経営資源としてデザイン経営とマーケティングの研究にいそしむ。 お酒、書と陶芸が好き。 尊敬する人は岡本太郎。
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コメント

  1. shizuka より:

    ロゴの話。
    興味深いです!
    あれって××××さんのことかな?
    なんて、思いました!
    良いロゴと悪いロゴの見分け方が知りたいです。
    一般ピーポーはやっぱ毎日フランス料理は食べられないし、汚い定食屋の方が安心して食べられることもあるし。

    ロゴについて、私のような素人にはやっぱりよくわかりません。
    誰でもわかるようなユニバーサルデザインのようなものがよいロゴなのですか?
    良いロゴと悪いロゴの違いっていったいなんなのでしょうか??
    無責任なデザインとは??
    デザイナーのエゴとは??
    なかなか面白いと思います。
    ぜひ教えていただければ嬉しいです!
    よろしくお願いいたします。

    • 熊谷 淳一 より:

      shizukaさん、コメントありがとうございます。
      どこのロゴかは言えませんが、××××さんではありません。クライアントさんに気遣い、一年前に起きた話を今書いています。

      良いロゴと悪いロゴの違いって分かりにくいですよね。詳しくお話ししたいので、後ほどブログに書いてみようと思います。しばしお待ちください。

      こちらに記事を書きました。「良いロゴマークと悪いロゴマークの違い」

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