CIの必要性
かつてバブルの頃CIブームというのがありました。大手企業が軒並みマークや社名を変えたりしていました。しかし、CIの考え方は根付かず、ブームとして終わってしまったように思われます。なぜ、バブルが崩れると同時にブームとして消えたのか…。理由のひとつに、コストがかかりすぎる割には効果がないという印象があるからだと考えられます。
ブランドの確立には、マインドアイデンティティ(理念)・ビヘイビアアイデンティティ(製品、サービス)・ビジュアルアイデンティティ(イメージ、デザイン)の3つの要素があります。マークを変えれば業績がアップするというものではなく、Cはこの中のひとつの要素でしかすぎません。マークを変えても、経営やサービスに手を抜いては、効果が出ないのは当然といえましょう。しかし、マインドとビヘイビアが確立されている会社がビジュアルに力を入れて、急成長した企業もたくさんあります。本質をしっかり押さえられたCIシステムは、社内の人間を活性化させ、ビヘイビアやマインドを変えてゆく力を持っています。
ビジュアルアイデンティティデザインは企業や、ブランドイメージを高めるために、視覚的な要素をコントロールして、社会と、より密なコミュニケーションをとるためのシステムです。人間が外部から受ける知覚は、その80%が視覚からであり、それゆえ視覚的な要素によって、人は潜在意識の中に、企業やブランドに対するイメージを作り上げてしまうのです。
マークがあればそれだけで済むのか?
それでは、CIの本質を押さえたものとは、どのようなものなのでしょうか。最近、インターネットを使って、会社のロゴマークを5万円でつくります、というホームページを見つけました。5人の匿名デザイナーが1案ずつ、合計5案提案されるのですが、その中から選択してください、気に入らない場合は、プレゼン費の1万円のみでけっこうです。というしくみです。一見、リーズナブルなように見えますが、これはあまりにも、安易で、企業のマークの意味や、CIシステムに関して、理解がなさすぎる人たちが行っているビジネスです。実際、この経営者は、デザイナーでも、デザイン業界の人でもない、まったくの素人さんのようです。
いかにいいシンボルマークであろうと、それが具体的に人々の目に触れるのは、アプリケーションアイテム(名刺や、封筒、サインなど)を通じてであって、具体的なアイテムのデザインが良くなければ、決していいものとして人々に伝わっていかないということを忘れてはなりません。何十年も使っていくであろう企業のシンボルマークを、チラシのデザイン費と同じような感覚で手に入れるようなことで良いのでしょうか。もちろん高ければ良いというわけでは、決してありませんが、安さで釣って儲けようという、素人のビジネスに引っかかってはなりません。
イメージのチカラ
そもそも、なぜ、CIシステムが必要なのでしょうか? CIは企業のイメージを高めるために、視覚的な要素をコントロールして、企業のアイデンティティや、サービスのイメージを向上させ、社内の人々の志気を高め、社会と、より密なコミュニケーションをとるためのシステムです。人間が外部から受ける知覚は、その80%が視覚からであり、それゆえ視覚的な要素によって、人は潜在意識の中に、企業に対するイメージを作り上げてしまうのです。
このように考えると、企業のCIのみならず、会社案内のデザインや、ホームページのデザイン、サービスや製品の広告、パンフレットのデザイン、展示会におけるブースやパネルのデザインにおいて、どのデザインもいい加減であってはならないのです。特に最近では、ホームページを立ち上げる企業が多くなっていますが、デザインが悪いホームページは企業の印象を悪くし、信用さえも損ねてしまいます。わかりにくいホームページでは情報提供の意味がありませんし、何度もクリックしなければ観たいページにたどり着かない構成や、ブラウザーの指定、プラグインの要求、不要な音楽の再生など、情報提供の本来の目的を外れてしまったサイトが見受けられます。有力な顧客は、情報を得るために、同業の企業のホームページを見比べることが日常茶飯事になってきています。印刷媒体ならば、送付しない限り目に触れることはありませんが、ホームページは、印刷媒体と違って、不特定多数の人々や、ライバル会社の人に、いつでも自由に「見られてしまう」媒体なのです。ホームページの企画・制作・管理を専門家に依頼する意味は、このようなノウハウが必要で、イメージに影響を与える重要な媒体であることに気がつかなくてはなりません。
もちろん、企業活動の中で、製品やサービス、価格設定や、社員の態度によって、業績は変化してきます。しかし、同じようなサービスや製品で他社と競争する場面、このイメージのチカラというのは、大きく人を動かすものなのです。時には、多少価格が高くても、イメージの良いお店や、企業の方を選んでしまうといったことは、よくあることです。
ビジュアルコミュニケーションの重要性
企業は、経済活動を行っていく上で、経理や法律の専門知識と技術をもつ、会計士、税理士、弁護士を携えています。これと同じ考え方で、顧客や社会に対しての、ビジュアルコミュニケーションの専門家である顧問デザイナーを専任で持っている企業は他社と差をつけ、競争に勝つ機会を増やしていくようになるでしょう。その企業が世の中に対して発信するすべてのものを、CI理論の中で、把握し、統一感を持ったイメージでまとめ、デザインのクオリティのばらつきを防ぐといったことが可能になるからです。今の時代、経営努力が優先で、デザインは後回しと考えるのではなく、いかにクオリティの高い、コミュニケーション活動をしていくかも、同時に考えていかなければ、生活者への信頼や、顧客の獲得はむづかしくなっていくでしょう。